■みなみ野循環器病院の特徴■

みなみ野循環器病院 幡先生 当院は心臓病の治療をやりっぱなしにすることなく、治療後の患者さんのフォローも重要視しております。適切な診断と質の高い治療から心臓リハビリに至るまで一貫して診ているところが特徴だと思います。いらっしゃる患者さんは八王子市近辺の方が多いですが、遠方から紹介でいらっしゃる患者さんもいます。生活習慣病の方、また不整脈、虚血性心疾患、心不全の方が主な患者さんになります。

■ホルター心電図検査の重要性と実施状況■

 ホルター心電図検査を実施する理由として一番多いのは、動悸や息切れを訴える患者さんの不整脈を早期に検出するためです。当院では、昨年まではコード付きのホルター心電計を使用していましたが、今年から絆創膏サイズで7日間計測可能なパッチ型心電計を導入し、二種類の心電計を使い分けています。やはり心房細動(AF)の検出を目的とする場合、24時間の検査では検出力が低いため、パッチ型心電計を使用して一週間検査してみて最終判断するのが良いと思っています。患者さんにとっても24時間より一週間検査してみての結果を知れた方が納得感や満足感が違うと感じています。実際、動悸を訴えて来院されても、ホルタ一心電図検査では症状の原因となるような不整脈が検出されず、外した直後に症状を自覚される患者さんもいらっしゃいます。一方で、症状の訴えが高頻度にある患者さんに対しては、24時間心電図検査を優先的に行いより質の高い診断を行うように心がけています。

 現在は1日5件ほど24時間以上の心電図検査を実施しており、1か月に換算すると150件ほどになるかと思います。検査数は年々増加してきている印象です。

■SmartRobin導入前後の変化と実際の運用■

みなみ野循環器病院 幡先生 SmartRobin導入のきっかけですが、元々パッチ型心電計を使用しており、知り合いの先生からAlを活用した自動解析サービスがあるとご紹介いただきました。日々5件前後のホルター心電図検査を回していく必要がありますので、結果返却の早さというところに魅力を感じ導入を決意しました。

 SmartRobin導入前後のホルター心電図検査のフロー自体に大きな変化はありませんが、やはり検査結果が返ってくるスピードは格段に速くなったと感じています。また、SmartRobinで解析を行う場合、解析レポートがアプリ上で自動作成されますので、それをそのまま電子カルテに取り込めるようになったことも大きな変化ですし、業務効率化につながっていると思います。

 実際のSmartRobinの運用手順としては、まずレポート内容をみてAFの発生割合などの概要を把握します。ただ、Alの特性上レポートの結果のみで診断をつけることはまだ難しいと感じています。なので、例えば実際に症状の訴えがあって来院した患者さんでは、行動記録表を参照して症状の訴えがあった箇所を画面上で検索し、実際の波形を自分の目で見て確認するようにしています(図)。やはりノイズなどが多いと人の目でもそうですがAlで不整脈を検出することは容易ではないと思います。なので、Alの特性を理解した上で、こういったAl医療機器を使いこなすことが重要だと感じています。

 また、当院では外来のパソコンでSmartRobinを扱うことができますので、患者さんとレポートだけでなく画面上で実際の波形を一緒に見ながら病気の説明をすることもあります。

運用フロー

 

■SmartRobinの活用シーンと今後の期待■

 やはりSmartRobinはAlを活用した解析ツールですので、学習能力が上がれば上がるほど使用機会は増えてくると思います。現在はAFの検出に特化した解析ツールという認識ですが、他の不整脈も含めた検出精度が上がるなど機能の幅が広がれば、様々な解析ツールがSmar­tRobinにとって代わるというような状況もあり得ると思います。
SmartRobinで波形を確認する幡先生 また、AFの症状を訴える患者さんの中には、最初に開業医や非専門医の先生にかかる方もいらっしゃると思います。SmartRobinの画面の見やすさや操作性などを踏まえると、非専門医の先生方にも使用いただけると思いますが、最終的な診断は解析レポートだけではく実際の波形を見て行うのが良いと思いますので、専門医の先生に結果を共有して診断を下すという流れが良いのではないでしょうか。そういった場面では、SmartRobinはインターネット環境下で使用できるツールですし、レポートも紙ではなくデータで扱えますので、病診連携ツールとしての活用もできるのではないかと思います。