■藤田医科大学病院 脳卒中科の特徴■

松本先生 脳障害に係る診療科としては、脳神経外科・脳神経内科など複数科にわたりますが、私の所属する脳卒中科は、一つの診療科内で脳卒中・脳血管障害の内科的予防から外科治療までを包括的に扱う全国でも珍しい診療科です。
 脳卒中科には科長の中原一郎先生以下、8名の医師が所属していますが、私を含め2名が脳神経内科医で、6名が脳神経外科医、一つの診療科の中に内科医と外科医の混合チームということも珍しいと思います。また、本年度から1名の診療看護師 (NP)が所属し、総勢9人体制で頑張っています。
 現在、日本には一次脳卒中センター (PSC: Primary Stroke Center)※1が974施設認定されていて、愛知県には44施設あります。その中でも11の病院がより専門的な治療ができるコア施設※2として認定されており、藤田医科大学病院もその一つとなっています。しかし、多くの脳卒中患者さんを一施設で対応することは困難なこともあり、脳卒中患者さんを少しでも多く救っていくためには多くの医療機関との連携が重要と考えています。
 脳卒中患者さんは、そのほとんどが救急搬送ですが、数パーセン トは別の疾患で入院中に脳卒中を発症されことがあり「院内発症脳卒中」と呼ばれています。あまりイメージできないかも知れませんが、世界的に院内発症脳卒中患者さんの方が、救急搬送されて来る患者さんよりも治療が遅れる傾向があります。これは、一般病棟では脳卒中診療に慣れておらず、救急外来と比較して脳卒中の専門家への連絡が遅れることが一因とされています。藤田医科大学病院では院内発症脳卒中を疑った場合の連絡先を一元化することで専門医へのアクセスを行いやすくするとともに、次に紹介する脳卒中診療支援システムTask Cale. Stroke(タスカル)も活用することで、院内発症の脳卒中患者さんも救急外来での対応と変わらないくらい迅速に検査や治療を受けられる体制を目指しています。

 

■脳卒中診療支援システム Task Cale. Stroke(タスカル)■

藤田医科大学で開発された、脳卒中診断支援システムTaskCale. Stroke(タスカル) 脳卒中の約8割を占める脳梗塞では、発症後直ちに治療を行えば劇的に改善する可能性のある治療法──血栓溶解 (tPA)療法や脳カテーテル治療が使用できるので、 24時間365日、少しでも早く治療に取り掛ることができる診療体制をいかに整えるかが重要となります。藤田医科大学病院では“医療の質管理室”という専門部門の協力のもと、院内の脳卒中診療に関連する部署が一つのチームとして、効率的に診療に当たれるよう体制を整えつつ、 ICTを活用したタスカルを用いて脳卒中のチーム医療を行なっています。タスカルは藤田医科大学を中心としたチームで開発したシステムで、一目で患者到着予想時間や主要タスクの進捗等を院内どこからでも確認できる仕組みで、チーム医療をサポートし迅速な診療の実現を目指しています。現在は全国27施設においてもタスカル導入による診療への影響を評価する臨床試験を行っており、今後より多くの病院で役立ていただけるよう準備中です。

 

■心電図検査の実施状況と課題■

 外来の患者さんに対しては、病歴、採血検査所見、脳MRIの画像などから塞栓症の可能性があると考えた場合、通常の12誘導心電図検査、心エコー検査を行います。しかし、明らかな異常が検出できない場合は、イベントレコーダを積極的に行うようにしています。
 急性期病床の場合には、入院後最低一週間は、生体モニターで不整脈の監視を行っています。しかし、外来の患者さん同様、塞栓症を疑う場合には、イベントレコーダを入院早期から実施するようにしています。それでも不整脈が検出できない場合には、卵円孔の開存の有無を経食道心エコー検査や植込み型心電図記録計 (ICM : Implantable Cardiac Monitor)などの導入を検討します。ただ、ICMの利用には、手術が必要である点で、少しハードルが上がります。そんな患者さんにはパッチ型心電計を定期的に繰り返し使用して、不整脈を見つけることにしています。
 塞栓源が不明だけれど塞栓症の疑いが強い患者さんは一定数存在するので、どの検査をどれくらいの期間行うかは重要な課題です。

 

■SmartRobin®導入のきっかけと効果■

 以前より、隠れた心原性脳塞栓症を発見するためにも、できるだけ長時間の心電図検査を行う必要があると感じていました。しかし、予算的な問題や解析に時間がかかることがネックで悩んでいたところにSmartRobinを知り、すぐに導入を決めました。何しろ、胸にシールを貼っておくだけで患者さんの負担も少なく、心電図計を別に購入する必要もないことが大きなポイントだと思います。また、SmartRobinで解析を行えば、解析にかかる時間も大幅に短縮するので迅速な診断に役立っています。
 脳梗塞の場合、初めの発症時には塞栓源不明の脳塞栓症と診断され、抗血小板薬で再発予防していた患者さんが、再発時に心房細動が見つかるということは、一番避けたいストーリーと思っています。そうなる前に、塞栓源である心房細動をどうしても見つけたいと思った時にSmartRobinは、強力なツールの一つと感じています。

導入前後比較図

 

■SmartRobin®に対する期待■

松本先生 脳卒中科としては、心房細動の有無や PSVの頻度、あとはロングポーズがあるかないかといった情報が重要で、SmartRobinはそうした機能を網羅しているので、今の機能で十分といえます。特に、解析結果を早く見たいときには、 ネットにアクセスしてクリック一つで見ることができるという点はいいですね。もし心房細動が見つかっても、患者さんに連絡できるでしょう。
 脳梗塞患者さんは、初めの診断が非心原性脳梗塞でも、その後に新たに心房細動が出現して来ないかを監視し続けることが重要だと思います。心房細動があれば再発予防のため薬を変更する必要があります。多くの医療シーンでSmartRobinという長時間心電図を即時解析できるツールを活用することで、脳梗塞患者さんの再発リスクを減らしていくことが重要と考えています。


※1 地域医療機関や救急隊からの要請に対して、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、急性期脳卒中診療担当医師が、患者搬入後可及的速やかに診療(rt-PA静注療法を含む)を開始できる施設。専門医の常勤などいくつかの条件を満たすことで、日本脳卒中学会によって認定される。
https://www.jsts.gr.jp/facility/psc/index.html

※2 PSCの中でも、年間12例以上の血栓回収治療実績、脳卒中相談窓口の設置といった5項目の条件を満たした施設を指す。https://www.jsts.gr.jp/facility/psccore/index.html