■在宅医療における心電図検査■

 当院の主軸は訪問診療で、患者さまはさまざまな事情で通院が困難な高齢者が多くいらっしゃいます。訪問診療ですから、心電図検査を行うにしても重い機材を患者さまの自宅まで運び、患者さまには上半身の着衣を脱いで横になってもらうという手間や場所が必要でした。検査が終わったら、また重い装置を持って帰らなくてはならず、そんな苦労をしても、計測できるのは数秒だけです。また、ホルター心電計も使用していますが、やはり患者さまには負担でした。こうした状況から、心電図検査に後ろ向きになってしまうこともありました。
 東京都『DX Scrum Teamプロジェクト』に参加して、絆創膏サイズで軽いパッチ型心電計とAIを活用した長時間心電図解析ソフトウェアである『SmartRobin』を用いて検査を実施するようになってからは、重い装置を肩にかけて運ぶ必要もなく、デバイスを貼り付けるだけで心電図を記録できるので患者さまへの負担も少なく、手軽に長時間心電図検査ができるようになりました。

■発作性心房細動を見つけた実例も■

 SmartRobinでは、アプリ画面と解析レポートの両方で解析結果を確認できますが、基本的には出力した解析レポートで確認しています。解析レポートは見やすく、またAF(心房細動)の発生割合が数値 で表示されるところがいいですね。AF以外だと、RR間隔やPVC(心室期外収縮)、PAC(上室期外収縮)も解析レポートでチェックしています。
 SmartRobinによって発作性心房細動を発見することができ、別の病院で手術を受けられた患者さまもいらっしゃいます。

■在宅診療ゆえの要望■

 当院の患者さまの中には、認知症の方もいらっしゃいます。認知症の患者さまの場合、検査で貼り付けたパッチ型心電計を自分で剥がしてしまう事例もありました。将来的にはスマートウォッチのような腕に装着するデバイスであれば、そうした心配は少なくなるでしょうから、将来的にはこうしたデバイスもSmartRobinで解決できるようになってくれると嬉しいです。SmartRobinのサービスについては利便性を感じているので、プロジェクト終了後も続けて利用していくつもりです。わかさクリニックグループの他院でも導入され始めていることと、訪問先の高齢者施設で職員の方からも SmartRobinについて話題になることがあり、今後SmartRobinの導入が広がっていくことを期待しています。

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東京都『DX Scrum Team プロジェクト』とは?

東京都『DX Scrum Team プロジェクト』は、スタートアップと中小企業が“スクラム”を組み、実証実験や成果検証に取り組む機会を提供することによって、スタートアップの革新的なビジネスモデルの実装、中小企業のDXを推進していくことを目的とした東京都の支援事業です。
株式会社カルディオインテリジェンスは、スタートアップ企業として東京都『DX Scrum Team プロジェクト』に採択され、その支援を受けてクリニックにおけるSmartRobinの実証実験を行っています。
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